iOS 13における『Haptic Touch』できること・できないこと

WHAT IS SUMMARY?
  • Haptic Touchと3D Touchの機能比較検証。
  • iOS 13でのHaptic Touchは凡そ補完的。
  • できなくなったことが多いという問題も。

iOS 13 × Haptic Touch = ?

2019年発売のiPhone 11シリーズにて、“強押し”である『3D Touch』が全廃された。それによる、できること・できないこと、変わること、問題点。それらを検証し考えてみます。

はじめに

本題に入る前に、本検証を進めていくにあたっての予備知識を一緒に再確認。

そういうわけで、この項はあくまで予備知識の再確認。ですので、本編にすぐに入りたい人は、各自この見出しを読み飛ばしてほしい。

Haptic Touchとは?

まず『Haptic Touch』とは、いわゆる“長押し”のこと。

『Haptic Touch』とは、いわゆる“長押し”。

Haptic Touchを利用する代表例は、ホーム画面にあるアプリアイコンを長押しして表示できるコンテキストメニュー表示。アプリアイコン長押しにより、ウィジェットの呼び出しや各アプリに割り当てられた専用のショートカットが表示される仕組み(機能名:Quick Action)になっている。

以前はかなり限定的な機能な印象だったHaptic Touch。
しかし、iPhone 11シリーズとiOS 13のコンビネーションにより、一応の機能としては、後述する3D Touchと遜色ないものになっているように思える。

3D Touchとは?

対して『3D Touch』とは、いわゆる“強押し”のこと。

『3D Touch』とは、いわゆる“強押し”。

3D TouchはHaptic Touchよりも先発して登場している。なので、当然のことだがHaptic Touchの機能を補完している関係性。今後のiOSアップデートで機能の変化はあるかもしれないという前置きをするならば、Haptic Touchとは動作フロー(強押し or 長押し)の違いだけになってくる。

なお、3D TouchはiPhone 6s/6s Plusで初採用。その後も7、8、X、XSと慣例的に採用されていった。しかし、XRでは不採用(SEも不採用)となり、今回のiPhone 11で完全に廃止方向が決定づけられた。

検証

さて、そんなHaptic Touchと3D Touch。
これらについて、考えているうちに疑問が湧いてきた。それが以下のような事柄だったりする。

Haptic Touchの疑問点
  • できることの差異はあるのか?
  • 3D Touchと遜色なく動作するのか?

3D Touchが過去の遺産となってしまった以上、どうにかHaptic Touchを代替的に使って慣れていくしかない。そこでユーザーとして気になるのが、上記のような事象のはず。

検証デバイス 検証OS
iPhone XS iOS 12.2
iPhone 11 Pro iOS 13.1.2

検証デバイスと検証OS。

なお、今回の検証にあたっての動作確認環境は上記の表にまとめてあるとおり。OSによって多少のズレがあることをあらかじめご留意いただきたい。

【検証1】Quick Action

Quick Actionクイックアクション』とは、アプリのアイコンを長押しすることによる、固有の動作に素早くアクセスできるショートカット機能のこと。

Quick Actionの動作比較。
Quick Actionの動作比較。

iOS 13が登場ホヤホヤの時点では、機能的にQuick Actionは心許ないものだった。ただ、アップデートにより、3D Touchと遜色ない挙動をHaptic Touchがしてくれるように。
上記のように、若干のデザインの差異はあるが、基本的には3D Touchの機能をそのまま継承していると思ってもらえればよいはず。あとは、個々のアプリの対応次第だろう。

結論:Quick Actionは問題ナシ(一部アプリ対応待ち)

【検証2】プレビュー(Peek・Pop)

Safariやメッセージなどのアプリのプレビュー画面で、長押し or 強押しをすると、ポップアップウインドウが表示される。
単にチラ見的に表示するだけを『Peek』と呼び、チラ見しているコンテンツに遷移するのを『Pop』と呼ぶ。

プレビュー(Peek・Pop)の動作比較。
プレビュー(Peek・Pop)の動作比較。

テストはSafariで行ったのですが、Peekに関してはデザインが違うだけで、特に機能的な差異はないように感じる。むしろ、iOS 13のほうが一覧性が良くなっている印象すら感じた。
しかし、当然ながらHaptic Touchは単なる長押し。なので、Peek画面がらのさらなる強押しで表示されるPop機能は使えない。

結論:Peekは機能向上・Popは廃止

【検証3】メモの筆圧感知

Apple標準の『メモ』アプリ。実は、このメモアプリは筆圧感知の機能がありました。すでに結果はお察しですが、一応の検証。

メモの筆圧感知の動作比較。
メモの筆圧感知の動作比較。

当然ですが、Haptic Touchは圧力を感知するような機能はなく、画面長押しをフックにして発火でする機能。ですので、筆圧感知は予想どおり無理という結果に。

結論:筆圧感知は廃止

【検証4】トラックパッドモード

iOSのキーボードには、『トラックパッドモード』というカーソル移動ができる機能がある。

Quick Actionの動作比較。
Quick Actionの動作比較。

すでにiPhone XSで採用済みだったので、既知の情報ではあるが、Haptic TouchでもSpaceキーの長押しで、トラックパッドモードが使えるようになっている。

結論:トラックパッドモードは利用可能

問題点

Haptic Touchの問題点
  • 筆圧感知機能の消滅。
  • トラックパッドモードの判定が狭い。
  • Popができなくなった。
  • 反応までのタイムラグが大きい。

見ていったように、Haptic TouchはiOS 13とのコンビネーションで、ある程度は3D Touch的に使える。ただ、気になった点もあるので、上記のように列挙してみた。

【問題点1】筆圧感知機能の消滅

【問題点1】筆圧感知機能の消滅

分かりやすい“劣化”とすると、メモアプリの筆圧感知機能がバッサリと廃止されたこと。

要不要は人それぞれだと思うが、3D Touch廃止の影響はこういう部分に現れる。余談だが、メモアプリのパレット部分のデザイン変更がなされていて、こちらは使いやすくなったとは思う。

【問題点2】トラックパッドモードの判定が狭い

【問題点2】トラックパッドモードの判定が狭い

3D Touchでは、キーボード全体がトラックパッドモードのフックになっていた。これがHaptic Touchだと、スペースキーだけになった。

慣れていけば…という部分は大きいとは思うし、こっちのほうが誤作動が減りそうで良いと思う人もいるかもしれない。なので、一概に判断しづらい部分ではあるが、一応の劣化ポイントとしておく。

【問題点3】Popができなくなった

【問題点3】Popができなくなった

再度おさらいすると、

  • Peek:クイックプレビュー・コンテキストメニュー表示
  • Pop:Peek時強押しでコンテンツ表示

というQuick Actionの挙動。

当然、iPhone自体に圧力を感知する機構がなくなったので、このPopは使えなくなった

これが意外と厄介で、 Peek → Pop という動作のチラ見からのコンテンツ遷移のフローが使えなくなった。それにより、コンテンツ遷移までのアクションが余分に1つ増えてしまった。なんだか、Peekの価値が薄れた気もしなくもない。

【問題点4】反応までのタイムラグが大きい

最後は、3D Touchに比べると、Haptic Touchは発動までのタイムラグが大きいこと。

こちらに関しては過去に検証済。なので、そちらを参考にしてほしい。

結論

今回のHaptic Touchと3D Touchの機能検証における結論。
それは、Haptic Touchは補完的な動作はするが完璧な3D Touch後継機能ではない。ということだろう。

個人的には3D Touchが好きだったので、贔屓目に見てしまう部分もある。ただ、客観的に見てもHaptic Touchは“劣化3D Touch”と捉えられてしまう部分が現状は多いはず。圧力感知は機構上無理として、その他の問題はOSのアップデートで改善してもらいたい。

総括「Haptic Touchはできないことが微妙に存在」

総括「Haptic Touchはできないことが微妙に存在」

今回検証したように、Haptic Touchにはできないことも微妙に存在している。それが3D Touchコアユーザーを納得させないかもしれない。それくらい、この機能は使う人には使うニッチ機能だからだ。

ニッチでマニアックな機能だからこそ、コスト面から『Taptic Engine』を削ったのだろうが、Apple的にはそれで良かったのだろうか…。個人的には復活を望む機能だ。

本記事に登場したモノ
  • Apple|iPhone 11 Pro
  • Apple|iPhone XS

編集後記

3D Touchがやはり恋しくなる。
Haptic Touchがダメというわけではないが、iPhoneのアイデンティティー的な要素の1つだったはず。それをアッサリと廃止してしまうとは。しかも、フラグシップな“Pro”で。

Sir Jonathan Paul Ive氏はどう思うのだろうか…。